霊園・仏事の知っ得コラム

お墓・仏事ハウツー

マイケル・ジャクソンの遺体にも使用したエンバーミングとは

2015年02月19日

この記事は2021/12/22に更新しています

エンバーミング(embalming)とは、故人を生前の姿に近づけ、長期保存するための科学的な技術です。その歴史は古代エジプトのミイラに始まり、アメリカの南北戦争で戦死者の長距離輸送が行われたことをきっかけに、広く普及したと言われます。

・エンバーミングの利点
土葬が多い欧米では、ごく一般的なエンバーミング。近年は、火葬を習慣とする日本でも行う人が増えてきました。エンバーミングでは、遺体を消毒・保存処理して、やつれや傷などを必要に応じて修復します。殺菌により2次感染を予防できるため、遺体に触れることもできます。故人が安らかな表情となり、清潔な状態で長く保存できるため、ゆとりのあるお別れができるのが最大の利点と言えるでしょう。

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・マイケル・ジャクソンのエンバーミング
著名人や政治的指導者の場合は、半永久的な保存・展示を目的としてエンバーミングを行う場合があります。たとえば、2009年6月に亡くなったマイケル・ジャクソン。彼の遺体はエンバーミングが施され、カリフォルニア州グレンデール市の「フォレスト・ローン・メモリアルパーク」に埋葬されました。生前のステージ衣装に身を包み、花々で飾られた棺に横たわるマイケルは、まるで眠っているようだったといいます。霊廟(モーソリウム)に埋葬されたマイケルに会えるのは、現在は身内だけだそうです。
霊廟(モーソリウム)については「マイケルジャクソンが埋葬された「霊廟」ってどんなもの?」でご説明しています。

・マルコス大統領のエンバーミング
1989年に亡くなったフィリピンのマルコス大統領の遺体は、亡命先のハワイでエンバーミングされました。ワイキキから車で1時間ほど行くと、日本の宇治の平等院が再現された「Valley of the Temple Cemetery」があります。マルコスの遺体は、一時はここの別棟に安置され、警備員が24時間監視していたそう。その後フィリピンへの帰還が許されました。

・レーニンのエンバーミング
1924年に脳梗塞で亡くなったソビエト連邦の建国者であるウラジミール・レーニン。死後、保存処理をされたその姿は100年近く経った今でも亡くなった直後のまま。今でも赤の広場にあるレーニン廟で会うことができます。定期的なメンテナンスは行っているようですが、100年近くもその姿を保てるというのはすごい技術ですよね。

生前の姿に近い故人と、最期の別れができるエンバーミング。高度な技術と専用施設が必要なため、どこでも依頼できるわけではありませんが、日本でも今後は盛んになっていきそうです。