霊園・仏事の知っ得コラム

もしもスタッフ連載

施餓鬼会と盂蘭盆会の違い

2018年07月07日

この記事は2022/06/13に更新しています

お盆の時期になると、お寺で「施餓鬼会(せがきえ)」が行われます。
お盆の法要を「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいますが、「施餓鬼会」と「盂蘭盆会」は何が違うのでしょうか?

そもそも、施餓鬼とは餓鬼道(がきどう)で苦しむ衆生に食事を施して供養すること。必ずしもお盆の時期にやる行事ではなく、毎日行うお寺もあるそうです。
一方、盂蘭盆(お盆)とは、ご先祖様の御霊を祀りその冥福を祈る行事で、毎年7月(または8月)13日~16日まで行われます。

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◆施餓鬼の由来・・・「救抜焔口陀羅尼経」(ぐばつえんくだらにきょう)
お釈迦様の弟子で多聞第一といわれる阿難(あなん)尊者が瞑想していると、焔口(えんく)という餓鬼が現れました。餓鬼の姿は、痩せ衰えて枯れ細り、口からは火を吹き、髪は乱れ、喉は針の先のように細い、醜いものでした。
餓鬼は阿難尊者に「お前の寿命はあと三日で尽き、私のような餓鬼に生まれ変わるだろう」と言いました。驚いた阿難尊者は、お釈迦様に相談すると「食物をお供えし、お経を唱えて加持祈祷すれば、食物は無限に増し、多くの餓鬼に施され、救われます。施主であるあなたの寿命も延び、悟りを得ることができるでしょう。」と言われました。阿難尊者は早速その通りに法要を営み、寿命が延びて救われました。

◆盂蘭盆の由来・・・「盂蘭盆経」(うらぼんきょう)
お釈迦様の弟子で神通第一といわれる目連(もくれん)尊者が、神通力で亡き母を探したところ、餓鬼道に堕ち、飢えて逆さ吊りにされて苦しんでいました。目連尊者は神通力で食べ物や飲み物を施そうとしましたが、たちまち燃えてしまい母は口にすることができません。
お釈迦様に母を救う方法を尋ねたところ、「あなたの母は、生前人に施さず自分勝手だったので餓鬼道に落ちたのだ。7月15日に、雨季の修行を終える僧侶にご馳走を用意してお経を唱え、心から供養しなさい。」と言われました。目連尊者がその通りにすると、母は餓鬼の苦しみから救われました。

それぞれ由来が異なる行事ですが、日本ではこの2つの話が混同され、どちらも先祖への供養として一緒に行われるようになったようです。
つまり施餓鬼会・盂蘭盆会とも、ご先祖様だけでなく、すべての霊を供養し、自分自身の健康や延命を願う法要ということですね。由来を知ると、毎年恒例のお盆も新たな気持ちで迎えられそうです。
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お盆についての基礎知識をまとめたコラムもございます。
ぜひ合わせてご覧ください。

お盆の基礎知識≪その1≫
お盆の基礎知識≪その2≫
お盆の基礎知識≪その3≫

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正しいお墓の知識をもって適切なアドバイスを行なうスキルを証明する「お墓ディレクター」資格を保持。
数多くの霊園に実際に足を運び、霊園だけでなく周辺環境の様子など多角的なアドバイスを心がけながら電話やメールでのご相談にお答えしています。

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