霊園・仏事の知っ得コラム

長江曜子連載

子どもに迷惑をかけたくない「それって本当に いいんですか?」

2010年01月29日

 お正月は、お墓詣りの季節です。こう言うと、何か変だなあと思われる方も多いと思います。12月30日までに、お墓のお掃除をして花や線香をたむけます。そして、元旦や二日にお墓まいりをする。寺院とお墓が離れている場合は、お寺さんへの挨拶に伺う。そんな自然な季節のごあいさつを、日本人は大切にして来ました。一年の始めに、家族が集まって話し合う。「和やかな」昭和の家族の肖像です。

100127-1.jpg さて、年明けからNHKや他のTV局で話題になったことは、「高齢者の一人生活」「無縁社会」「孤独死」問題でした。2009年日本は、人口が7万5千人減少する社会となりました。65才以上の人口で、三世代同居はわずか3割です。夫婦二人生活、一人生活が全体の7割を占めているのです。「子どもに迷惑をかけたくない。」が、口癖の高齢者達。介護、葬儀、お墓、相続を、生前に書き残しておくための「遺言ノート」も、静かなブームになっています。子ども達と、離れて住んでいる高齢者には、「自分らしい死」イコール、自分で段取りし、始末する「迷惑をかけない死」なのです。

 この現象、本当にこれで良いのでしょうか。昭和の64年間と、平成の22年間の86年間を、20年ごとに分けると、戦前、オリンピックまで、昭和のおわり、平成の4期に分けられます。戦前は大家族で家制度、オリンピックまでは核家族化と都市社会、昭和の終りまではニューファミリーで団塊の家族、平成は、一人生活と小さな家族化と大きな時代の変化と考えられます。大切な親の「死」は、誰もが生まれて来たからには、逃れられない現実です。これまでは、家族が担って来ました。「死」は、人間の生き方を学ぶ最高の場です。それを、「子どもへの迷惑」と考えてしまうのは、残念です。

 血縁、地縁(地域社会の一員としての生き方)、友縁(友人関係)の三縁を大切にしなくては、人間が「個として完結」する社会は淋しすぎます。「生きる意味」と「生命の大切さ」を、学ぶことが出来る、葬送文化の重要性を考えてみませんか。人間は、ものではないのです。

profile
長江 曜子(日本初のお墓プランナー)

死にまつわるデス・ケアサービスの葬送アドバイザー
聖徳大学教授博士(学術)
世界45カ国を旅し、お墓の比較研究をし、アメリカのお墓大学を卒業。墓石・霊園行政研究、文化人類学的視点で比較研究すると共に、個人のお墓から霊園設計・納骨堂設計等ライフプランニングのアドバザー(コーディネーター)を務める。
 また、大学においては、生涯教育(SOA)人気シリーズ「食の松戸物語」のコーディネーターを務めるとともに、寮の食事改善策を地域食材導入の試みをしている。

長江 曜子