霊園・仏事の知っ得コラム

長江曜子連載

家族への愛のメッセージ―遺言ノートのすすめ―

2010年06月30日

 1980年代後半、私は全米墓園大学(ACAU)に毎夏4年間留学していました。テネシー州メンフィス州立大学のキャンパスで、7月~8月の1週間30時間以上、お墓の市場調査とセールス、会計・財務、霊園設計、卒業ゼミ等のコースを毎年1コース受講し、卒業となります。当時、エルビスプレスリー誕生のこの町には、100人~120人の全米、カナダ、南米等からの実務関係者が集い活気がありました。その中の唯一のアジア系日本人が私でした。おかげ様で、1991年に卒業できました。

 全米墓園大学が終了した後、8月上旬の1~2週間をかけて、全米(東部、中西部、南部、西海岸など葬送文化が異なります)各地を研究調査に回っていました。その際、テキサス州ヒューストンにある、世界最大の葬儀総合会社SCI(Service Corporation International)に訪問し、単独4日間取材できました。英語が得意ではない私にとって、自分の言葉で疑問を発し、答えを聞きとり、メモし写真を撮ることは大変でしたが、30代の自分には正しく「カルチャーショック」で、発見の新鮮さがありました。

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 SCIは、1960年代から生前契約の葬儀保険を開発して巨大化し、1972年にはニューヨーク証券取引所に上場した企業です。1980年代のアメリカは、現在の日本のように高齢者の夫婦単位や一人生活が多く存在していました。子供達は、成人すると同時に結婚しているかいなかにかかわらず、親から独立しますので、三世代同居も極めて少ない社会です。そこで目にした葬儀業界の販促物が、今日本で注目されている「遺言ノート」「エンディングノート」でした。アメリカでは、無料で葬儀社がくれるノートです。その一ページめに書いてあった言葉は、「愛する家族を、私の死後困らせないように書き残す」とありました。全米各地に点在する家族に対して、「自分らしい葬儀・お墓」をデザインするノートなのです。

 基本は、家族への愛のメッセージですね。

profile
長江 曜子(日本初のお墓プランナー)

死にまつわるデス・ケアサービスの葬送アドバイザー
聖徳大学教授博士(学術)
世界45カ国を旅し、お墓の比較研究をし、アメリカのお墓大学を卒業。墓石・霊園行政研究、文化人類学的視点で比較研究すると共に、個人のお墓から霊園設計・納骨堂設計等ライフプランニングのアドバザー(コーディネーター)を務める。
 また、大学においては、生涯教育(SOA)人気シリーズ「食の松戸物語」のコーディネーターを務めるとともに、寮の食事改善策を地域食材導入の試みをしている。

長江 曜子