霊園・仏事の知っ得コラム

もしもスタッフ連載

お墓にまつわる亀のお話

2021年05月22日

5/23はアメリカの非営利団体「American Tortoise Rescue」が制定した「世界亀の日」。
亀について知り、亀に敬意を払い、亀の生存と繁栄のための人間の手助けをする日とのことなので、今日はお墓にまつわる亀のお話です。


亀は古来中国では仙人が住む蓬莱山(ほうらいさん)の使いで知恵と長寿を象徴する動物とされており、日本にも伝わったと言われています。
それは「鶴は千年、亀は万年」とのことわざからも読み取れます。
実際に亀は長生きで、子どもが小さい時に縁日で買った亀が、何十年も経ってまだ元気にしている、という方もいるのではないでしょうか。
また亀は固い甲羅を持つことからインドやギリシャでは「世界を支えている」という説があり、不動の象徴とされています。

この「亀」は実はお墓にも使われています。
縁起の象徴である亀がお墓?と疑問に思う方もいるかもしれません。

石で亀の形を作り、その背に碑を載せることで、その碑が永遠に後世に残ることを念じて建てられるのが亀趺(きふ)です。
中国では1500年以上前から用いられており、現在も中国の石碑にはよく見られます。
厳密にいうと亀ではなく、贔屓(ひき)という中国の伝説上の生物で、龍生九子(りゅうせいきゅうし)」の一つとされています。
贔屓は背に甲羅を持ち、亀に似た姿をしているが、亀と違って龍の子らしく頭に角があり、重いものを載せるのを好み、背に載せた石碑などは永久に倒れないとされます。
こうして贔屓趺(ひきふ)が生まれました。
現実には角がないだけで容姿がよく似た亀がいたため贔屓は次第に亀と混同されていき「贔屓趺」は「亀趺」と呼ばれるようになっていったと言われています。

中国で生まれた亀趺は貴族階級以上にしか建立が認められておらず、日本でも同様だったと言われております。そのころ日本は江戸時代。時代背景を考えるとたくさんの亀趺が建立されても不思議ではありませんが、現存するものはかなり希少です。
有名なところでは都立青山霊園にある大久保利通のお墓が亀趺墓で、現在でもその姿を見ることができます。

そもそもお墓とは冥福を祈る対象としての役割と家族のつながりの象徴という役割をもっています。
そのお墓が後世に残るように長寿や不動といった象徴である亀が使われる、というのはごく当たり前のようにも感じます。
お墓参りついでに「亀趺墓」を探してみてはいかがでしょうか。

もしもドットネット コラムスタッフPROFILE

正しいお墓の知識をもって適切なアドバイスを行なうスキルを証明する「お墓ディレクター」資格を保持。
数多くの霊園に実際に足を運び、霊園だけでなく周辺環境の様子など多角的なアドバイスを心がけながら電話やメールでのご相談にお答えしています。

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